貯蓄型保険をマイナス150万円で解約した話|「大人なら保険くらい」と思い込んでいた10年の記録

保険・お金の守り方

「社会人になったんだから、保険くらいちゃんと入らないと」。

22歳のわたしは、本気でそう思っていました。そして中身をよく理解しないまま入った貯蓄型保険を、約10年後、マイナス150万円を確定させて解約しました。

この記事は、その全記録です。先にお伝えしておくと、これは「保険を解約しましょう」という記事ではありません。むしろ逆で、何も考えずに入って、何も考えずに払い続けた過去のわたしのような人が、ひとりでも減ってほしくて書いています。

※この記事は、わたし個人の体験談です。特定の保険商品をおすすめしたり、解約を勧めたりするものではありません。保険が必要かどうかは、家族構成や収入、健康状態によってまったく違います。見直しを考えるときは、ご自身の状況に合わせて、必要なら中立的な専門家や公的な相談窓口に相談してくださいね。

結論|約10年・536万円払って、マイナス150万円で解約しました

先に数字をまとめます(すべてわたし本人の実数です)。

  • 加入:22歳・社会人1年目。死亡保障・個人年金・医療の3種類、あわせて5口ほどを契約
  • 払っていた額:毎月28,000円+年払い200,000円 = 年間約53万6,000円
  • 約10年での支払い総額:ざっくり536万円
  • 2024年8月、すべて解約。戻ってきたお金との差額、マイナス150万円が確定

30歳で貯金ゼロだった理由のひとつは、間違いなくこの保険でした。それでも今は、「解約してよかった」と思っています(※わたしの場合は、です)。

入った経緯|「大人なら保険」という思い込み

大学を卒業して社会人になった22歳。「もう社会人なんだから、自分のことは自分でちゃんとしないと」と思っていた頃、兄が保険に入ったと聞いて、同じ担当さんを紹介してもらいました。

誰かに強引に売りつけられたわけではありません。自らの意思で入りました。ただ、その意思の中身が問題で……「保険は大人なら入っておくべきもの」という、たぶんCMで刷り込まれたイメージだけで契約したんです。それに「保険料は若いうちに入るほど安い」って、よく聞くじゃないですか。だから「早く入らにゃ損!」とすら思っていました。なぜ入るのか、何に備えるのか、まったく理解していないのに、です。

担当さんから見たら、疑問ひとつ持たない新社会人がやってきたわけです。今思えば、ネギを背負ったカモそのものでした(笑)。

契約したのは、死亡保障のある貯蓄型の保険と、個人年金保険、医療保険の3種類。場所は、某ファミレスでした。ドリンクバーをつけてもらって、ジュースを飲みながらサインしたのを覚えています。振り返れば総額536万円のお買い物。なんなら、ご飯まで食べさせてもらえばよかった!!(笑)

プランの決め方も、今思えばすごいんです。「払い込んだお金は、将来まとまったお金が必要になったときに借りられますよ」と聞いて、「28歳で子どもを産んだら、その子が高校や大学に上がる頃にお金がかかる。じゃあ、その時期にこれくらい借りられるように……」という感じで、金額を決めました。

……いやいや。なんで、自分が払ったお金を”借りる”前提なの!? しかも後から知ったのですが、この仕組みは、自分が払い込んだお金を利息を払って借りるものでした。金利の説明も、たぶんさらっとはされていたと思います。でも22歳のわたしに、その意味はわかりませんでした。

ちなみに契約手続きが終わった直後、担当さんから「女性ですから、女性疾患をカバーできる保険もいかがですか?」と、続けておすすめされました。当時はさすがにお金がなくて断りましたが……思い出すと、ちょっと怖い話です。あのときのわたし、お金がなくてよかった(笑)。

恥ずかしい話をもうひとつ。当時、友人と保険の話になると「わたし、年間何十万も払ってるよ」と、謎の自慢をしていました。ちゃんとしてる大人アピールです。保険に入っていない友人を見て「みんな何も考えてないんだなぁ」なんて思っていましたが……何も考えていなかったのは、わたしのほうでした(笑)。

気づいた瞬間|お金の勉強を始めて、ようやく

転機は2020年。コロナで在宅勤務になり、時間ができて、YouTubeでお金の勉強を始めました。リベ大(両学長)の動画を見続けるうちに、気づいてしまったんです。「わたしの入ってる保険、まさにこれだ」と。

いちばん刺さったのは、保険の本来の目的の話でした。保険は、自分に何かあったとき、生活に困る人にお金を残すためのもの。では当時のわたしはというと——20代前半、独身、健康体そのもの。

「……わたし、誰にお金を残したかったんだろう?」

受取人は、両親や兄にしていました。でも冷静に考えれば、みんな、保険金がなくても自力で生きていける人たちです。

思い込みって、本当に怖いです。理由を考えずに入って、理由を考えずに10年払い続けていました。

迷い|「置いておけば戻るのでは」と、何年も動けなかった

「解約したほうがいい」と頭でわかってから、実際に動くまでには何年もかかりました。

迷った理由は、マイナスの大きさです。貯蓄型なので、このまま何十年か置いておけば、返戻金は少しずつ元本に近づいていく。「だったら戻るまで待ったほうがいいのでは?」と、何度も考えました。当時はもう結婚していたので、マイナス150万円を確定させることが家計に響くのも気がかりでした。

でも、立ち止まって考えてみたんです。約10年続けて、保険金を受け取ったことは一度もない。結婚した今、夫はわたしがいなくてもひとりで生きていける人。そして何より、「ずっとマイナスの保険がある」と思いながら暮らすことのほうが、しんどい

それでも一気には決められなくて、まずは「払い済み保険」(それ以上の支払いをストップして契約だけ残す形)にしました。お金の勉強界隈では「払い済みも結局不要」と言われているのは知っていたのですが、わたしにはこのワンクッションがないと、マイナス150万円を受け入れられませんでした(笑)。ここは理屈より、心の整理の問題でした。

手続きのリアル|担当さんを通さず、窓口に直接

手続きで最初に決めたのは、担当さんに直接言わないことでした。話せば、絶対に引き止められるとわかっていたからです。

なので、保険会社のホームページから問い合わせ窓口に電話して、書類を取り寄せました。窓口では淡々と進みます。わたしは3種類・5口ほど契約していて、中にはすぐ払い済みにできない契約もあったので、できるものから順番に払い済み・解約へ。そこから1〜2年かけて、「やっぱりこのことが頭に残り続けるのも嫌だし、ありがたいことに使う機会もなかった」と、最終的に全部解約しました。それが2024年8月です。

ひとつ、支えになったことがあります。帰省したとき、兄と一緒に契約を全部並べて「これは払い済みにできる」「これはできないから少し置いておく」と整理したんです。兄もお金の勉強を始めて本質を理解してきていた頃で、「一緒に見直そう」と言ってくれる人がいたのは、本当に心強かった。ちなみに兄は、マイナスが小さくなるまで置いておく判断をした契約もあります。同じ家族でも、答えは同じじゃないんですよね。

解約したあと|悔しさと、536万円の授業料

正直、めちゃめちゃ悔しかったです。でも「わたしはバカだった」と受け入れました。

あらためて計算すると、毎月28,000円と年払い200,000円で、年間約53万6,000円。10年でおよそ536万円。30歳で貯金ゼロだったわたしの後ろには、この数字がありました。あのお金があれば、好きなことをもっと遠慮なくできたかもしれないし、将来設計をしてちゃんと貯金することもできた。無知って、本当に怖い。

そして、いちばん怖い話をします。536万円も払っていたのに、「どういうときに、いくら返ってくるのか説明して」と言われたら、わたしは全然できないんです。……お金、捨てていたのかな。そう思うくらい、中身を知らないままお金を払い続けていました。

ただ、この150万円は授業料だったとも思っています。ここから学んだことは2つ。

ひとつは、理由を説明できないお金は、もう1円も払わないということ。もうひとつは、わたしが入っていたような「保険と貯蓄を兼ねる商品」は、わたしには合わなかったということです。役割を兼ねるものは、どっちつかずになりやすい。わたしは「保険は保険、貯金は貯金」と分けて考えるようになりました(これはあくまで、わたしがたどり着いた結論です)。

同じように不安な人へ|解約より先に、やってほしい2つの確認

最後に。「自分の保険、これでいいのかな」とモヤモヤしている人に伝えたいのは、解約のすすめではなくて、わたしが10年間やらなかった2つの確認です。

  1. その保険、いざというとき保険金で本当に足りますか? 入っていることに安心して、肝心の保障額を確認していない——まさに昔のわたしです。もし足りないなら、払っている意味から考え直す必要があります
  2. なぜ入っているのか、自分の言葉で説明できますか? 誰のために、何に備えて。もし「大人だから」「みんな入ってるから」しか出てこなかったら、それは10年前のわたしと同じサインかもしれません

確認した結果、「うちにはこの保険が必要だ」となるなら、それが正解です。わが家のように解約が答えになる家庭もあれば、兄のように残す判断もある。答えは家庭の数だけあります。だからこそ、最終的な判断はご自身で。迷ったら、売る側ではない中立的な専門家や公的な窓口に相談してみてくださいね。

過去のわたしにひとこと言えるなら、こう伝えます。「保険くらい、じゃないよ。保険こそ、ちゃんと考えて」。


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